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▲秘湯へ向かう際に超えなければならない川 |
◆え!? ミャンマーに温泉?
ミャンマー東部、タイと国境を接するシャン州のなだらかな山岳部にチャイントンという町があります。この町の南、パラウン族の住むパウッ村から車で10分ほどのところに天然の温泉があるのをご存じでしょうか。
「え!? ミャンマーで温泉?」と意外に思われるかもしれませんね。
温泉は、水深の浅い川を越えて行った先にあるのですが、この川は架橋されていないため、車に乗って川の水を波立たせながら渡ります。雨季だと水量が多くて行けないことも。まさに秘湯という雰囲気が漂う温泉で、旅ごころをぐっとくすぐられちゃいます。
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源泉からは硫黄のにおいがするお湯が沸き、もくもくと湯気が立ち込めていて、「ああ、本当にミャンマーに温泉があった!」と少し感激してしまいました。熱気やにおいはまさに温泉そのもの。源泉の温度はなんと約100℃と、ほとんど熱湯です。源泉の温度が高いため、周辺は熱気がむんむんで、近くに立っているだけでも大地の熱さを感じます。もちろん、この熱湯風呂に入るわけではありません。
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▲「個室浴場」のある建物
▲ハート形の個室浴場
▲「番台」そばの販売場所
▲温泉そばの食堂で買える「温泉卵セット」
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◆閉ざされた「個室浴場」 湯気がわきたつ源泉のそばに、とんがり屋根の特徴的な建物がたっています。ここが浴場なのですが、おもしろいのはすべて個室温泉になっているところです。個室は3タイプあり、それぞれ広さや湯船の形が異なります。もっとも狭い個室浴場は長さ2メートル、幅1M弱くらい。ハート型の湯船のものもあり、こちらはカップル用でしょうか?
源泉からパイプでそれぞれの個室に湯が通されています。入浴者はパイプに取り付けられたふたつの栓(ひとつは源泉、もうひとつは冷水)を自分でひねって好みの温度の湯を作り上げ、ゆったりと湯につかります。
ただ、「個室浴場」には洗面桶がおかれているだけで、採光のための穴はあけられていますが、窓はありません。更衣室やロッカーなどもなく、脱いだ衣服やタオルなどは個室の壁にとりつけられたフックにかけておくというシステムです。この閉ざされた空間のなかで温泉につかるというのが、「チャイントン温泉」の最大の特徴でしょうか。
個室のある建物内に銭湯の番台のようなところがあり、そこにいる係員に料金を支払います。支払いのきまりは特にないようで、後払いでも先払いでも対応してくれるようです。大らかですね。入浴時間の制限もありません。
「番台」のには洗面セット販売場所があり、石鹸、シャンプー、歯ブラシ、歯磨き、タオルなどが販売されているので、必要に応じて買い求めましょう。
係員のお姉さんは、日常的に温泉に使っているせいか、お肌と髪の毛がとてもきれいだったのが印象的でした。
◆ちょっと難しい温度の調節
実際に足湯を楽しんでみました。栓はガスなどの業務用元栓のような形で、源泉、冷水ともに少しひねっただけで勢いよく大量に出るため調節がとても難しく、慣れるまでなかなか適温を作れませんでした。最初に注意してひねらないと、やけどをする危険があります。
しかし、一度、適温にする術を身につけてしまえば、湯や水は大量に出るためすぐに湯船いっぱいにためることができます。それに、なんといっても自分好みの温度の温泉にすることができるのがとっても楽しいのです。
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また、チャイントンのホテルは設備としてのバスタブがないため、少数民族の村をめぐるトレッキングなどで疲れた足を癒すには、ぴったりの温泉だと感じました。隣の個室で入浴中の地元客の鼻歌が聞こえてきたりと、ローカルな気分が味わえるところも、異国情緒をかきたてられます。
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日本でもおなじみの「あれ」が作れる!
温泉の近くにある食堂では、生卵が売られています。この卵を買って、小さなひも付きの編み籠に入れ、温泉の湯につけていると……。そうです、「温泉卵」ができるのです。あつあつの源泉につけて茹で卵にするもよし、のんびりと温泉につかりながら時間をかけてとろりとした「温泉卵」にしてもよし。食堂ではビールも売っているので、旅の疲れをチャイントンの湯で癒したあと、緑豊かな山々を眺めながらできたての温泉卵をつまみに一杯! というのも楽しいかもしれませんね。
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